記述日 2022/6/26
ゲーム開発者が語る。クソゲーが産まれるゲーム業界の構造的欠陥 3/?
前回の記事
今回は3回目です。
前の記事読んでいないかたはコチラからどうぞ↓
つづき
まず始めに、このテーマを書き始める時には全3回の予定でしたが、
書きたい事が増えたので連載回数を不定とします。
謹んで謝罪いたします。
あと、前の記事よりやたら期間が開いてしまいましたが、
仕事が超絶忙しかった事と、今回もバランワンダーワールドに触れるので、
クリアしてから記事を書こうと思って何度か挑戦したんですが…
無理!クソゲーすぎる!
イライラし過ぎてキーボードクラッシャーになってしまうのでクリアー断念しました。
仕事で疲れて、その休憩でバランを遊ぶものの、
このゲームよりも仕事の方が100倍楽しいのですぐに仕事に戻りたくなる程。
いや、マジでさ、センス無いだけじゃこんなにユーザーをイライラさせるゲーム作れないよ。
悪意を持ってゲーム設計した?
そういう訳で未クリアーですがご了承ください。
バランワンダーワールド…の前に自分語り
さて、今回もKOTY2021。
クソゲーオブザイヤー2021受賞の名実ともにクソゲーのバランワンダーワールドでござぁます。
その前に少し自分語り入れさせてください。
「クソゲークソゲーとひとさまのゲームこき下ろしてるけど、
おまえはクソゲー作った事ないのか?」
と言うような声も聞こえて来ると思います。
答えは…
「仕事でクソゲー作った事ありまぁす」
15年程前…10人ちょいのチームでしたかね。
幸か不幸か…
いや、幸いにもそのゲームは世の中で出ることがなくプロジェクトの途中で開発中止になりました。
それなりの人数とそれなりの期間かけていたので、会社は1億円以上失ったと思います。
大手パブリッシャーなので1億円程度大きな問題ではありませんが、その時自分はメインプランナーやっていたので、少し給料下がったっけな。
ここで自分語りを入れた理由は、バランと似た理由で失敗して(クソゲーになってしまって)プロジェクトが頓挫してしまったからです。
プロジェクトが頓挫せずに発売を強行していたらクソゲーとして炎上するか、殆ど売れずに話題にも登らなかったかのどちらかだと思います。
で、その失敗時の経験とバランワンダーワールドの失敗点を分析すると、
バランワンダーワールドがどうして失敗したのか、手に取るようにわかるのです。
自分が携わっていたクソゲーが頓挫しない未来線はこれなんだなと感慨深くなったり…
あ、ちなみに俺はバランワンダーワールドの開発には携わってないので勘違いなきよう
バランワンダーワールド:アクション部分のクソゲーの理由
また前置き長くなってしまいましたが、本題。
バランは前回の記事で書いたようにアクション部分だけではなく、ストーリー、バランチャレンジ、ゲーム設計、コンセプトetc全てが駄目ですが、
今回はアクション部分…つまりインゲームがどうしてここまでクソゲーになってしまったかについて記述します。
クソゲーになった理由は明確かつシンプルで
「ゲームコンセプトが無いまま作ってしまった」
から。です。
バランを遊んでしまったかたは知っていると思いますが、
このゲーム“これ”と言った楽しさ、つまり軸となる楽しさが一つもありません。
バランのディレクターを務めた中さんのゲームのソニックザヘッジホッグで言えば「超高速でステージを駆け抜ける爽快感」、ナイツで言えば「空を飛ぶ爽快感」など、一言で示せるゲーム性があります。
一方バランは移動やジャンプが楽しい訳ではなく(歩きはじめも足が滑っていて低品質)、探索が楽しい訳ではなく、コスチュームシステムも数を用意しただけでつまらない。
軸となるゲーム性が何も無いのです。
ゲームの軸を作らずにゲームとして成立させようとすると、
ギミック(ゲームの要素)を増やしてなんとかゲームの体裁を保とう、という流れになってしまいます。
「ギミックが多かったり敵の種類が多かったりすると、なんとなく楽しくなってくれないだろうか?」
と、勘違いしてどんどんつまらないアイディアを足していって引き返せなくなるのですが、
その想いと工数に反してゲームはどんどんつまらなくなって行き泥沼にはまっていきます。
ギミックや敵キャラというのは、元々あるはずのゲームコンセプトを面白くする為に、
必要に迫られて追加していくものなので、それが無いといくら種類が多かろうと面白くならないのです。
これは上で語った、私が作って途中でお蔵入りしてしまったクソゲーと同様のパターンなので非常によくわかります。
ギミックというのは、バランで言えば数多くあるコスチュームがそれに該当します。
コスチュームをいくつか紹介します。
「ジャンピングジャック」ジャンプの滞空時間が伸びる
ジャンプ中に滑空して少しだけ、ジャンプ中の移動距離が伸びるんだけど明確な伸び幅がわかりにくく、カメラ(ワーク)の悪さもあいまって、「このコスチュームのおかげで届いた!」というよりも、なんとなく距離が伸びたからなんとなく届いたみたいな感じで攻略感は無い。
むしろ明確な基準がわからなくて気持ち悪い。
「デインティドラゴン」炎を吐ける ※
一部では有名な悪名高いデインティドラゴン。
このコスチューム炎が吐けるようになるのはいいんですが、なんとジャンプができなくなります!
ジャンプアクションゲームでジャンプが出来なくなる事の気持ち悪さ、ストレスの溜まりっぷりは半端なく、ファイアマリオになるとジャンプできなくなるマリオ、と揶揄されているのがこれです
「この欠陥に開発者気づけ馬鹿!」としか思えないコスチューム。
「エラスティプラント」体が長くなる
体が長くなって上の方にあるジェムが取れるようになる取ってつけたようなコスチューム。
これもジャンプできないストレッサーコスチューム。
しかもダサすぎる。
ゲームの攻略にもさほど影響せず本当にその場しのぎ、数を増やすだけの様なコスチューム。
ふざけてる?
それとも凄くふざけてる?
この様にゲーム最序盤の3つを紹介しただけでも、
欠点、ストレス、その場しのぎ、分かりづらい、爽快感皆無、無意味、格好悪い(気持ち悪い)と、
クソの煮凍りの様なコスチュームシステムなのですがこれが80種類以上もあるのでたまりません。
ステージが進んでも、その場しのぎや分かりづらいものが続々登場するだけで全く面白くありません。
駄目駄目なコスチュームシステムが根幹となっているので、
レベルデザイン(ステージデザイン)もこれに沿った、その場しのぎコスチュームを活かす?為の
その場しのぎのレベルデザインになり、当然レベルデザインも崩壊。
勿論ゲームプレイも非常につまらない物になります。
さて上記から開発者は「ゲームがつまらない困った…」と気づいて
ゲームの根幹となんら関係のないキックターゲットやゴルフなど入れ始めて、更に迷走していきます。
勿論このミニゲームもつまらないし、全く無意味/無関係な事をやらされてイラッとします。
悪手ですね…
開発者は焦ります。
「コスチュームをこんなに用意しても、ミニゲームを追加してもゲームが全く面白くならない!
どうすればいい…!?」
「ひらめいた!」
「活躍の機会のないバランを活かし、更にゲームを面白くなるアイディアがひらめいたぞ!」
バランチャレンジ
そんな経緯…か、どうかは知りませんが、ここでバランカンパニー(スクエニ/アーゼスト)起死回生の一手。
スーパーマリオの生みの親として有名な宮本茂さんも言っていました
「アイデアとは、複数の問題を一気に解決するものだ」
満を持してバランチャレンジ投入!
マーシトロン発動!
アカギの命運や如何にっ!?
長くなったので次回に続きますっ!
続いた! 2023/6/13
趣旨が変わったけど続きました。
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